強気な君が好き【日月】

1年だけの新設校としては良くやった方だ。

そうやって色んな奴から慰めの言葉を投げ掛けられた。

確かに他の学校は先輩がいて後輩がいる。
高校のバスケを知っている奴の下で一緒に練習して、過去の試合の話とかされるんだろう。

でもうちはそれがない。

初めて会った奴と初めての高校でのバスケ。

力の差だけではない。
俺らには高校でのバスケを知らなさすぎた。


決勝リーグまで行けたのは奇跡みたいなもんだ。

結果リーグではトリプルスコアの大敗の大惨敗。

ちょっとトラウマにもなったくらいだ。


「なぁ伊月…俺たちどうやったら強くなれると思う」


らしくない事を目の前にいる奴に聞いてみた。

少し驚いた顔をしてからゆっくりとそいつは口を開いた。


「どうやってって…練習しかないんじゃない?今よりみんなの連携を深めたり、基礎きっちりやったり」


当たり前の事を当たり前に返された。
でもそれしかないとわかってる。

わかっているからこそ誰かに言って貰いたかったんだ


「来年には後輩も入ってくるし、日向はキャプテンって呼ばれるんだよ?今はいいけど弱音ばっか吐くなよ」


みんな心配してるから。
そういった伊月の顔が赤かった。

『みんな』が心配している。
多分そうかもしれない。
あまり干渉しないような態度をとってるけど、『みんな』の内に伊月も入ってるんだろう。

そっぽを向いたのは照れ隠しってとこか。


心配してくれるやつらがいて、支えてくれるコイツがいる。

うじうじ過去に縛られて進めないでいるのがバカらしくなってきた。

コイツがついてるなら、もっと強くなれる気がした。



「そうだよな、先輩か。
……俺一人じゃ心配だから、伊月、二人で頑張ろうな」

「ばっお前、俺だけじゃなくてみんなもいるんだから二人じゃなくてもいいだろ」


焦ったように切り返す伊月が可愛かった。


「まぁみんなで支えるけど、俺はお前とずっとバスケしてたいと思うよ」


高校だけじゃなくて、この先ずっと。
バスケを辞めても一緒にいたいと思う。


「わかった。ただし次はインハイな。じゃないと日向負け犬任命な!」

「それはヤだな(笑)
……インハイ行けるといいな」
「バーカ。行くんだよ。絶対」

強気な君が好き。
いざという時しか強くなれない俺の代わりに引っ張ってくれる君が。

だから弱音はこれでおしまい。次は君みたいに強くなろう。
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