しっかりとした日本語を使いましょう【日月←今】

「伊月君って実はバカやったんやなぁ」

のんびりそう告げる目の前の奴……今吉さんは口調とは裏腹にジリジリと迫ってくる。

俺の背中が壁に当たると、逃げないように捕らえる為、俺の顔の横に両手を付く。

「まさかこんな簡単に付いてくるとは思わへんかったわ」

「……」


こんな状況に陥ったのも全てはうちの1年のアホのせいだ。

数分前、火神が俺に伝言があると言ってきた。

『さっきキャプテンが外に来いって言っているって言われた……です』

若干というか、来いって言っているって言われたという意味がわからなかったが、火神だから日本語が変でも気にしなかった。

それが甘かったみたいだ。

正しくは『日向が外に来いって言っていた』ではなく、『今吉に日向が外に来いって言っていたと伝えてくれ、と言われた』ということだったらしい。

まんまと引っ掛かった俺は呼び出した本人である今吉さんに捕まり今に至ると言う訳である。


「……確かにうちの1年の言うこと信じた俺がバカだったとは思いますが。何の用ですか」


こんな状況で聞くのもあれだが……


「あっ今更聞くんかぁ。いやぁ伊月君みたいな美人さん鳴かしたらおもしろいんやろうなぁ思うてな」

「……他を当たっていただけませんか」


全くいい迷惑だ。
にこにこ笑っているが言っていることはかなり怖いぞ。


「えー折角のチャンスなんやからいややなぁ。あっ、そか主将君にバレたらやばいもんなぁ」

「っ……バレる以前に俺が嫌なんですよ!」


今吉さんに囲われている腕を除けてその場から去ろうとしたが、腕を捕まれた。


「っ……」

「もういっちゃうんか?まぁ、伊月君隙だらけやだからね……おっとぉ、お迎えも来たみたいやし今日はこれくらいにしてあげるわ」


捕まれた腕を力一杯引き寄せられ、バランスを崩した。
その隙にすかさず俺の唇を何かが覆った。

「んぅ……っ」


口内に侵入してきたのが今吉さんの舌だと解り、引き剥がそうとしたが動かなかった。

「っあ……はぁん……」


グチュグチュと口内を掻き回す音が脳内に響き、油断した自分に後悔した。

後悔したと同時くらいに遠くから自分の名前が呼ばれるたのに気がついた。


「伊月!!」


……日向だ。
ヤバイ、スイッチ入ったらどうしよ……俺殺されるかも。

日向の姿が視界に入ると今まで振りほどけなかった今吉さんの腕の力が弱まり、解放された。
無理な体制を強いられていたせいか、体は斜め下に地面に引き寄せられ駆け寄ってきた日向に受け止められる。


「主将君きづくの早かったなぁ〜。残念やわ。またなぁ伊月君」


今吉さんがさっさと去る姿を滅茶苦茶恐い顔で睨み付けている日向に……若干の恐怖。


「……ごめん日向。ばかがみの言うこと信じた俺がバカだった……」


あいつに日本語能力がもっとあれば……と押し付けてみる。
が、自分の責任でもある……


「いや、お前がいないのに気づいてたんだが、あのバカの日本語解読に時間掛かってな……もっと早くこれなくて悪かった」


なんも日向は悪くないんだけど、スイッチが入ってなくてよかった……


「でも今吉さんにキスされるまで逃げなかったのは頂けないな……あとでお仕置きな」


「ちょっ!!逃げたし!!」


「しらん!見てない!」


しらそうでしょ。捕まったときに来たんだから……スイッチ入りやがった……


このあと理不尽な事に、日向にお仕置きと称した焦らしプレイを強要され、痛い目を見たのは言うまでもなく……

今度からは、ばかがみの日本語読解力を強化することを心に決めたのだった。




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火神の扱いが酷くてすんません(笑)
基本がバカの子設定なんで……

終わりがぐだぐだなのは時間がなかったから(汗)



(紗雨)

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